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(感想)スカイ・クロラ 「君は生きろ!何かを変えられるまで!」

通勤電車の中にきれいな広告があって気になっていた押井守監督の「スカイ・クロラ」。
押井守は僕がまだ子供の頃、そのノリが何というか趣味に合わなくて、それ以来20年くらい1作も見ていなかったんですが、今回ひょうんなことから見ることになってしまった。

で、見てみたら意外となかなかよかったので、思わず感想を書いちゃいます。
空の映像が美しかったし、音楽も良かった。ストーリーはわりと淡々と進むのですが、伏線の張り方も凝っているし、よくわからない世界が最後の方でよくわかってきて、すごく現代的なテーマを扱っていたんだなあと、そしてそこに込められたメッセージがなんとも愛があるなあと僕は感じました。

う~ん、どうなんだろう。

僕は予備知識なしで見たのですが、それが良かったなと思うので、DVD借りて見てみようと思ってる人は以下は読まない方がいいかも。見てから読んでください。見るかどうかわからない人はこのまま続きをどうぞ。
 映画は、最近のアニメの映像はすごいなーと感心するような空中戦のシーンのオープニングから始まります。

 で、二つの陣営が戦争していることがわかるのですが、なんか基地の見学に来る人々のツアーがあったり、どうなってんのと思わされながら進んでいきます。主人公の戦闘機のパイロット「函南(かんなみ)優一」やその上官「草薙水素(スイト)」が主人公で日本名なんだけれど、町に出ると日本ではなさそうな場所。

 話が進むとわかってくるのですが、戦線に立つパイロットたちは子供。しかも、おそらく遺伝子工学上の偶然の発見から生まれた永遠の子供。思春期くらいの状態で歳をとらないようで、キルドレ、と呼ばれている。しかも、おそらく戦死しないかぎり死なず、そしてつぎつぎ戦死する。



 このヘンテコな戦争はなんなのか、ということもストーリーの中でわかってきますが、それは内緒。皆、「仕事だから」と割り切って出撃し、死んでいきます。

 捉えようによっては全く希望のない世界。そんなふうに死ぬ定めなら、生きることに何の意味があるのか。

 スイトはキルドレなんだけれど、パイロットとしての腕がものすごくよかったため、戦死せずに生き残り、キルドレとしては異例に長い戦歴を持っています。そしていろいろなことに気づいてしまった。

 スイトの元上官なのかな、一人だけキルドレでない大人のパイロットがいて、ずば抜けて最強で、絶対に負けない人がいます。通称「ティーチャー」。この、終わってはいけない戦争を終わらせないでいるのは、彼の存在があるからなのかも、ともスイトは思っているようで、自分でも意識せずに彼を倒せば何かが変わるかもしれない、と思っています。

 でもいまのところ変わらない。
 ほとんどのキルドレは世界の仕組みに気づくまもなく死ぬ。
 そして、別のキルドレに・・・。

 スイトだけは気づいている。
 その絶望的な自分たちの定めに。
 永遠に抜けられない、戦死するための人生の繰り返しに。

 現代に生きる若い人で、同じような人生観を持っている人はけっこういるんじゃないでしょうか。「それなのに生きることに何の意味があるのか」



 それなのに生きることに何の意味があるのでしょうね。

 キルドレたちは彼らなりの楽しみも持っているし、朝日を浴びたり、風を感じて気持ちよさそうにしたりもします。

 「いつも通る道でも、違うところを踏んで歩くことができる。いつも通る道だからって、景色は同じじゃない。それだけでは、いけないのか」というのは、ほんとに最後の方で、優一がつぶやく言葉。

 絶望し殺してくれと頼むスイトに向けて銃を構える優一。
 何の意味もなさそうな人生を、生きる意味は?

 そのクライマックスのシーンは僕はかなり感動してしまいました。




 押井監督はかなりの意気込みでこの作品を造ったそうですが、僕にはそれが伝わってきました。映像も音楽もすごくきれいだったから映画館で見たら良かったなあ。
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この記事のコメント

スカイクロラ気になっていたんですよ~
みてみよっと!
2009-05-29 Fri 07:13 | URL | さっちん #-[ 内容変更] | top↑
はい~。
見たら是非感想聞かせてください。
2009-05-29 Fri 18:42 | URL | 風使いふたこ #-[ 内容変更] | top↑
このコメントは管理者の承認待ちです
2009-06-10 Wed 07:56 | | #[ 内容変更] | top↑
二子さん、共和国の2ヶです。二子さんのミクシへの転載日記は、携帯ではページ捲りに結構時間がかかるので時々こちらを覗かせて下さい。

スカイ・クロラー、監督のお姉さんがマイミクさんで踊りをやってらして日記にこの作品を熱く語ってらしたので、映画館で見ました。深かったですね。

はじめは重厚でリアルな風景に比べ、人物が所謂アニメの平坦な画像なのに違和感があったのですが、見ているうちにその薄さにも意味的効果(意図されたものではないとも思いますが)を感じる位引き込まれました。見終わってハッピー♪とかでなく課題を渡された重さを感じました。

押井さんは家庭で影が薄いお父さん達やアニメ世代の若い人を励ます本もお書きですね。
2009-06-11 Thu 21:36 | URL | 2ヶ #-[ 内容変更] | top↑
アメリカ留学中のモリくんですか?
お人違いだったらごめんなさい。

小説版、このストーリーより時代をさかのぼった話もシリーズで出ているようで、ちょっと気になっていました。

スカイ・クロラもラストが違うとか。

う~ん、読んでみようかな。

You are the Mori-kun who are studying in USA aren't you? (If not, excuse me)

I also interested that I heard the series of the novels are about the history before Sky Crawler.
And the Sky Crawler itself has different ending in the novel.

Umm, I'm interested in.
Thank you.
2009-06-11 Thu 22:06 | URL | 風使いふたこ #-[ 内容変更] | top↑
こんにちは!

そうなんですよ。
僕もあのリアルな世界から、平板な人物のセル画(っていまは言わないのかな)の世界になって、最初ちょっとぎょっとしてしまった。スイトさんとか、ちょっとこわいし。でもそれが効果的なような気もしました。

課題を残されたとも言えるかもしれませんね。でもなんか、(賛否両論あるみたいだけれど)僕にはその問題意識や苦悩とともに、とても肯定的なまなざしが感じられて、それが見終わったあとの感触として気持ちよかったです。

監督のお姉さんがマイミクさんなんですか~。すごいなあ。
2009-06-11 Thu 22:11 | URL | 風使いふたこ #-[ 内容変更] | top↑
出先からだったので英語しか使えず、しかし勢いのまま書き込んでしまいました。混乱されたかもしれません、失礼しました。

本が好きというのは単純に、描写があってわかりやすいということです、きっと。
実写だと役者の微妙な表情、アニメだと間などの作りでしょうか。とにかく複線を読みきれないタイプなので、気にいったモノは何回でも見てしまいます。
全体に含みがある内容も、考える余地があるというのは好きです。


さらに言うと、スカイクロラだけでなく、著者の森博嗣さんの文章が好きなんですが。
2009-06-12 Fri 14:40 | URL | モリモト #-[ 内容変更] | top↑
残念ながら機会にはぐれまだお会いした事ないのですが、四十代で舞踏に出逢い求道的にひたむきに続けていらっしゃる六十代の方のよう。徘徊から踊りと体への情熱的な日記を見つけコメントしたらマイミクお誘い頂いて。弟さんをとても尊敬していらっしゃいます。


肯定的なまなざし、感じますね。キルドレから生まれたキルドレでない女の子どう育ってゆくのかな…

監督はどうも大の煙草好きらしい。煙草の煙りが美しかったです(共和国は2ヶ月の禁煙後舞台前から復活。でも落ち込まず長い目で見ながらまた挑戦します!)。
モリモトさんのコメントから原作も読んでみたくなりました。


2009-06-22 Mon 13:41 | URL | 2ヶ #-[ 内容変更] | top↑
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